食中毒(ノロウィルス等)の知識・患者数と防止策
豊かな暮らしには、豊かな食生活が必要ですが、そんな食生活を台無しにするのが「食中毒」。
そこで、食中毒に関する知識・患者数について解説するとともに、防止策を紹介します。
そもそも食中毒とは
食中毒とは、食品に起因する胃腸炎、神経障害などの中毒症の総称で、その原因によって、
- 細菌性食中毒
- ウィルス性食中毒
- 科学物質による食中毒
- 寄生虫による食中毒
上記の4つに分類されます。
食中毒には流行り廃りがありますが、最近多いものは、以下の3つとなります。
①カンピロバクタ―
細菌性食中毒の一種で、人の下痢症に関与するの細菌の正式名称は、「カンピロバクタ―・ジェジュニ」と「カンピロバクタ―・コリ」といいます。
牛・豚・羊・鶏など動物の腸管に生息しています。食肉(特に鶏肉)、飲料水を汚染します。
【参考】平成27年 患者数:2,089人
(出典)「平成27年食中毒発生状況」厚生労働省
②ノロウィルス
ウィルス性食中毒の一種で、汚染された牡蠣等の貝類を生または加熱不十分で食べた場合や、感染者の便や嘔吐物からの二次感染で発症するケースが多い。
月別の発生状況をみますと、一年を通して発生していますが、11月くらいから発生件数は増加しはじめ、12~翌年1月が発生のピークになる傾向があります。
冬のほうが発生件数が多いのは、ノロウィルスが低温・低湿な環境を好むためと考えられています。
【参考】平成27年 患者数:14,876人
(出典)「平成27年食中毒発生状況」厚生労働省
③寄生虫
その名のとおり、寄生虫による食中毒。
馬刺しや生食用のヒラメに寄生虫(クドア)が関与することで、食中毒の発生原因となります。
また、サバ・アジなどに寄生するアニサキ幼虫を原因とする食中毒も多く発生しています。
【参考】平成27年 患者数:302人
(出典)「平成27年食中毒発生状況」厚生労働省
食中毒・ノロウィルス防止に向けて
食中毒防止のために一番必要なことは、食品をきちんと加熱することです。
細菌・ウィルス・寄生虫はどれも基本的に熱に弱く、きちんと熱した食品から発症する可能性は相当低いと言えます。
また、感染者からの感染防止のために、きちんと手洗い・消毒することも重要です。
患者数が特多い、ノロウィルスについては、さらに詳しく防止策を紹介します。
ノロウイルス食中毒を防ぐためには、以下が重要となってきます。
- シニア層や子供などの抵抗力が弱まっている方、体調がすぐれない方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱したものを食べること
- 食品取扱者や調理器具等をきちんと消毒し、二次汚染を防止する
一般にウイルスは熱に弱く、加熱処理はウイルスの活性を失わせる(失活化といいます。)有効な手段です。
ノロウイルスの汚染のおそれのある牡蠣などの食品の場合は、中心部が85℃~90℃で90秒以上の加熱が望まれます。
食肉による食中毒の防止に向けて
2011年に発生した焼肉チェーン店の食中毒事件を受け、生食用牛肉の規格基準と表示基準が設定されました(2011年10月施行)
牛肝臓の内部から腸管出血性大腸菌が検出され、安全に生で食べるための有効な予防策がないため、2012年7月より牛肝臓を生食用として販売・提供することが禁止されました。
さらに、豚の肉や内臓の生食はE型肝炎ウィルスや食中毒菌による重い食中毒が発生するリスクがあるため、2015年6月、豚の肉や内臓を生食用として販売・提供することが禁止されました。
食肉による食中毒を防ぐためには、生肉や加熱が不十分な肉の料理は食べないことが重要です。
また、肉や脂をつなぎ合わせた結着肉や挽肉、筋切りした肉、タレ等に漬け込んだ肉、牛や豚、鶏のレバーなどの内臓は、内部まで十分に加熱してから食べるのがいいでしょう。
目安は、肉の内部の温度が75度で1分間以上加熱することです。例えば、ハンバーグなら、竹串を刺してみて肉汁が透明になり、中の赤身がなくなった状態になれば、加熱は十分です。
また、食肉を調理した器具は、きちんと洗浄し、菌等を増やさないことが重要です。
食中毒に気を付けて、豊かな食生活を送りましょう!